« 第120話「Equinox,PartⅠ(異空生命体を呼ぶ者たち・前)」 | トップページ | 第121話「Equinox,PartⅡ(異空生命体を呼ぶ者たち・後)」 »

VOYの何でも屋?―セブン考

 私がボーグを代表する。

※最終回までの、あのネタバレをも含みます。

 キャラクターが伸び悩んだケスと交替で現れたこのキャラクターは、VOYファンの中でも特に人気が高い一人です。彼女とドクターの活躍するエピは必ず「名エピ」というお人さえもいます。

まずは基本データのおさらいから。初登場は第69話「生命体8472」の後編です。8472と戦うためにボーグと危なっかしい同盟を組んだ際、神経トランシーバーをつけられそうになった艦長たち。もちろんそんなこと受け入れられるはずもなく、艦長はドローン一人にボーグ側の意思を伝えるように要求しました。そして出てきたのが「セブン・オブ・ナイン」です。ボーグでの正式名称は「ユニマトリックス01の第3付属物、セブン・オブ・ナイン」。名称から、ボーグクイーンのいるユニコンプレックスで働いていたのかと思っていましたが、そうでもないようで。艦長は地球人のセブンに最初から興味津々。

そんなセブンの過去は、かなり特殊。えっと、セブンの過去についての言及は、エピによってちょっと揺れがあるんですが、まぁ大体でいきましょう。地球人としての本名は「アニカ・ハンセン」。生まれは地球ではなく、どこぞのコロニー。同化された地球人の両親のほか、おばさんが地球にいます。4歳のころ、両親がボーグの研究をするために、艦隊の冷たい視線を振り切って出立。すぐに報告したコースを外れて中立地帯をも突破してしまいます。特に父親は熱心で、ボーグに遭遇した後は自らキューブに乗り込んでいってドローンを研究する始末です。3年後、アニカが7歳の誕生日を迎えたその日に、両親と共に同化され、18年間ドローンとして過ごしました。と、いうことはシーズン4開始時点で25歳ですね。このとき、上級士官最年少のハリーも、同じく25歳(シーズン1の時点で「20年前2歳」=22歳なので)。ヴォイジャーの中では最も若いクルーの一人でしょう。この生い立ちには、わたくし個人的に少々同情するところがあります。私も「陸の孤島」と言っても過言ではない、閉鎖的なコミュニティに育ち、そこの価値観しか知りませんでした。18で大学進学のために関西へ出た時には、軽い「カルチャーショック」を受けましたよ。日本国内で…。

さてさて、ボーグとの同盟が崩壊したあと、決裂していたかと思われた艦長と副長の連係プレー、そして諸般の事情(どんなよ、笑)により、セブンは集合体より意識を切り離されました。単独では生きられないボーグドローンのシステムをある程度外し、体は8割がた人間の機能を回復したセブンですが、心のほうはそう簡単ではありませんでした。人間としての記憶はほとんどなく、ボーグスピリットが芯からしみついているセブン。これは、他のドローンと違うところですね。また、ロキュータスとやらになったピカード艦長(この辺はよく分りません)や、ユニマトリックスゼロの話で一度ボーグに同化された艦長・ベラナ・トゥヴォックがすぐに元へ戻れたのに対し、セブンやほかの元ボーグ(副長が神経接続された話や3人だけの集合体になってしまったボーグの話に出てきました)がすぐに戻れないのは何故?と思うところですが、セブンは幼いころからインプラントと成長したため、他のボーグは長時間の同化と艦隊の医療技術の優秀さということではないかと推察します。

一度はヴォイジャーのクルーとしての運命を「受け入れよう」と言ったセブン。しかし、素直に従うとか、マナーとかルールとかいうものがほとんどない彼女は、当初(いや、ずっとか…?)艦長とぶつかることに。しかし、徐々に艦長を「手本」として見るようになっていきます。艦長としてもセブンがかわいくてたまらないといった感じで、セブンのために何度自身やクルーの命をかけたことか…。

まぁセブンのほうでも、ヴォイジャーのクルーとしての自覚が芽生えて、船のために自分を投げ出すことも厭わなくなります。特に第93話「放射能星雲の孤独」ではよく頑張ったと思いますよ、うん。あの状況はなかなか耐えられませんからね。また「暗黒フロンティア計画」のときには、艦長とクイーンと、どっちにする?みたいな状況に置かれましたが、きちんと艦長を取りました。そうでなければドラマになりませんが。

やけに大人びた一面を持っていたケスにはできない「心の成長」がテーマのセブンですが、その人気はキャラクター設定だけではありません。八重歯がとても可愛らしかったのですが、幼顔でがっつり幼児体型(失礼)だったケスに代わり投入された彼女は、ナイスバディにボディコンスーツをまとい、大きなアイスブルーの目にぷっくりした唇。なんともセクシーです。これが姿勢よくスタスタと歩き、あごをつんと出して物を言うのですから、男性からしたらたまらんのでしょうね。それプラス、「頭脳集団」のときに艦長が言ったように、「優秀」なんですわこの人。ナノプローブとボーグテクノロジーを四次元ポケットのごとく使いこなし、あらゆるデータ解析もシステムの改造もパパッとやってのけます。困ったときにはとにかくセブン。ハリーと一緒に、天体測定ラボを作ったのもセブンでしたし、クルーやお客に何かあったときにはナノプローブを調整し、そうニーリックスを生き返らせたこともありました。歌もうまくて、ヴェロシティでは艦長と互角の戦いをし、料理はプロ級。もう何でも来いって感じですね。

SFの常で、登場時にはもっとも人間らしくなかったセブンが、どんどん人間性を身に付け、シリーズ終盤では艦長に「反抗」ではなく「意見」するように。また、艦長の「生徒」だったセブンが、イチェブなどボーグの子供たちの教育係としても奮闘します。あぁそうだ、その前に、モバイルエミッターとナノプローブが混ざってできた「ワン」っていうのがいましたよね。彼も、セブンに付いて学びました…彼の場合は、データを吸収したって感じでしたが。

そんなセブンの「恋愛」。ヴォイジャーに来たセブンに、男性クルーたちは大いに注目しますが、最初に惚れちゃったのはハリーでした。これは、いつの間にか消滅。第116話まで話が飛んで、このエピではチャップマンという男性とデートをしますが、失敗。肩の靭帯を損傷させてしまいました。またこのエピでは、指南役のドクターがセブンに想いを寄せますが、告白する前に玉砕。それでもドクターはその想いを抱き続けていたらしく、えーどのエピだったか失念しましたが、彼が消えてしまうかもしれないというとき、みんなの前で大懺悔大会をし、ついでにセブンに愛の告白をする…というシーンがあったはずです。これも実りませんでした。第146話「聖域ユニマトリックスゼロ」ではセブンに元彼アクサムがいたことが判明しますが、彼とは銀河の反対側にいて会えなくなりました。この時、セブンは艦長に「もし今後私が、彼を友達以上でないと言ったら、今日を思い出させて欲しい」なんてことまで言ってましたのですが…。

シリーズの最後になって、セブンは急に恋愛に目覚め(本人いわく、アクサムとの体験からだそうですが)、なんとチャコティ副長に目をつけました。ヴォイジャーで最も高い地位にある男性の副長は、人間的にも優れていて云々…だそうです。最初は「シュミレーション」として、相手役に選んだだけでしたが、その後どう持ち込んだのか、最終回でいきなり10代のカップルのようないちゃつきようを見せてくださいます。フレンドシップワンなどで、その前兆があるという説もありますが、この二人のくっ付け方には、多くの艦長ファンとJ/Cが涙を飲み、暴れました(笑)。どう見ても友人・同僚以上の感情をお互いに向けていた艦長と副長の間に割って入ったセブン(海外のファンには「恩知らず」と称した方もいるようです)。「これがなければ、可能性の未来でセブンが死んだ時も副長は人が変わらず、提督となったジェインウェイが未来から来ることもなく、ヴォイジャーは帰れなかった」という意見もあります。まぁ言ってしまえばそうなんでしょうよ。ということは、艦長は副長のこと、本当に愛してたのね…っていやいや、この話はまた別の機会に。今は「セブン」の話。正直、この二人が長く続くとは思えないのです。意外とやきもち焼きの副長は、モテモテで引っ張りだこのセブンを独占できないのに耐えられないでしょう。しかも、感情表現の乏しいセブンは、事あるごとに「愛してる」と伝えなければならないアメリカナイズされた地球文化の恋愛ができるかどうか。ジェインウェイ提督のいた「可能性の未来」では、3年も続いたそうですが、それでもすごい。

シリーズ最後で無事地球に帰還したヴォイジャーですが、セブンのその後の処遇というのがとても気になるところです。なにせ「元ボーグ」ですから。希望的な観測をすれば「元マキ」であるチャコティ副長や「前科あり」のトムは、アカデミーの卒業生ですから、艦隊に復帰できるでしょう。ベラナやその他の元マキクルーは、アカデミーの中退者ならそのまま艦隊へ、あるいは全員アカデミーの入学や編入が認められるかも。まぁ、ベラナはしばらく育児でしょうが。そのノリでいけば、セブンも晴れて艦隊アカデミーへ入学、というのが一番いいんでしょう。艦長も喜ぶんじゃないでしょうか。でも、さっきも言いましたけど「元ボーグ」ですから、艦隊としてはセブンが持ってる情報や、身体データはとっても重要です。ひょっとしたら、ボーグに同化されてしまった他の人たちを助ける手がかりも得られるかもしれません。しばらくはボーグの研究機関で検査漬けというのが、私の予想です。

総じて、制作が作り出したこの「セブン」というキャラクター。VOYのあらゆる技術や人間ドラマを補う上で、好きにさせてくれる「何でも屋」になってしまった感が否めません。しっかりした過去が確立している艦長・副長・トゥヴォックのTOP3、性格やカラーに特徴があるベラナ・トム・ハリー・ニーリックスに対し、「元ボーグ」という設定以外はほとんど真白からスタートしたセブン。技術とアンバランスな感情の稚拙さも、その成長を描くことで確かにストーリーは広がったかもしれません。しかし、「なんでもできる」ということは、便利すぎて彼女の出番を連発し、出演の片寄りを生みました。それが証拠に、艦長を中心に各クルーがバランスよくエピをこなしていた前半に対し、後半は明らかに出番の少なくなった副長やトゥヴォック。ニーリックスに至っては、たまに「この人ほんとにレギュラー?」という扱いを受けてます。それでも、彼女がVOYのファンを(いろんな意味で)増やしたのは否定しがたい事実ですが。またセブン役のジェリ・ライアンさん、吹き替えの沢海陽子さんの演技は素晴らしいものがあり、セブンというオリジナルキャラクターをしっかり作り上げています。

う~ん、最終回を知っているせいか、艦長ファン+J/Cの私はどうしてもセブンに対してこういう言い方になってしまうのが残念なところです。容姿だけでなく、もっと魅力あるキャラクターになり得たはず…ですが。

|

« 第120話「Equinox,PartⅠ(異空生命体を呼ぶ者たち・前)」 | トップページ | 第121話「Equinox,PartⅡ(異空生命体を呼ぶ者たち・後)」 »

キャラクター論」カテゴリの記事

艦外(VOYの外で)」カテゴリの記事

雑記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。cat

大変興味深く拝読させていただきました。

セブンとドクターは、エピソードを作りやすいキャラだったと思っていました。
性格や生い立ちが特徴的ですものね。
ケスは、いい子ちゃんすぎて、扱いにくいキャラだったのではないでしょうか?
人気が出なかったのも、そのためではなかったか、なんて思ってます。

艦長と副長の関係については、
私は恋愛というより、もっと深い、人と人との繋がりとして感じていました。
伝染病にかかって、惑星に置き去りにされた時(「ヴィディア人の協力」第41話)も、最後まで一線を越えなかったようですし。
(この事は、ほかの話(「対決する時空」第157話)で副長が過去の艦長に言及してますよね。)

もっとも、これは私が感じたことで、製作者側の意図は別にあるのかもしれませんが。coldsweats01

投稿: haru | 2008年5月 3日 (土) 20時28分

>haruさん
ありがとうございますdog
>>エピソードを作りやすいキャラ
ぶっちゃけそうだと思いますよ(笑)。機械的な部分を持っている彼らは、なんでもありですからね。それに、そういう彼らが100%人間の艦長たちより感情的なことを言ったりすると面白いと感じますし。だからって、あんなバンバンやることもないとは思いますが、正直。
ケスがいい子ちゃんすぎっていうのは、私も同意見です。(ケス考をご参照ください)製作は「発展がなかった」って言ってますけど、やりようだったんですよね~。
157話での、時空が戻る直前の会話ですよね。J/Cとしてはがっかりなセリフでした。それまでそのことについては、ダイレクトに言及されてませんでしたから。でも、個人的には、このころには制作側の中でC/7の構想が上がっていたんじゃないかと。んなもんで、艦長とはなかったってことにしないと、後々大変ですからね~。あ、これは個人的な想像ですよ。
私「そのこと」を語りだしたら、だんだん「セブン考」じゃなくなってきてしまうんですよね(苦笑)。

投稿: 浅木 | 2008年5月 4日 (日) 05時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/499466/20681384

この記事へのトラックバック一覧です: VOYの何でも屋?―セブン考:

« 第120話「Equinox,PartⅠ(異空生命体を呼ぶ者たち・前)」 | トップページ | 第121話「Equinox,PartⅡ(異空生命体を呼ぶ者たち・後)」 »