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第142話「Muse(ヴォイジャーの神々)」

 『美しきヴォイジャー、故郷は遥か遠い』

※ネタバレです。

 ギリシャ劇さながらの野外ステージ、上演されているのは「ヴォイジャーの神々」です。ヴォイジャーの艦長日誌が大筋になり、デルタフライヤーでミッションに出たベラナとハリーが難破したことが、彼らなりの解釈で描かれています。ハリーは脱出ポッドに乗り、ベラナはフライヤーごと岸辺に流れ着く、というところで終わっています。最前列で見ていたお偉いさんも気に入ったようで、一週間で続きを作れと無理難題を。ただ、褒美として連れの女性のブローチをくれました。

舞台裏では、脚本&演出のケリスがみんなに続編を報告しました。そして、恋人らしき若い役者との「お祝い」をすっぽかして…。

彼が向かったのは、本物のデルタフライヤーでした。墜落したフライヤーの中には、たくさんのロウソクと、縛られたベラナがいました。ベラナが気づくと、ケリスは「あなたの僕です」とひざま尽きます。

僕、と言いつつも縄をほどいてくれないケリスに、とりあえず医療キットで怪我の手当をさせるベラナ。きれいに治った傷を見て、ケリスは彼女とヴォイジャーが神であると感激します。フライヤーの墜落を見た彼は、ベラナが気絶している8日の間に、デルタフライヤーの日誌から、ヴォイジャーのクルーを神として芝居を作ったのでした。そして新たな芝居の種を聞き出すために、ベラナを逃がせないと言います。ま、そこはベラナですから、逃げないからとロープを切らせて、フェイザーで彼を脅しました。

翌日、一人でフライヤーの亜空間通信を開こうと悪戦苦闘のベラナに、懲りない詩人ケリスが木の実を持ってやってきました。代わりに、地球について話すベラナ。余談ですが、艦隊の制服って、上着脱ぐと結構コキアゲ(死語)だけどグラマーに見える。ええっと、そのベラナは、ケリスにダイリチウムの画像を見せ(彼らの星では「冬の涙」というらしい)探して来いと言います。領主の敷地にあるので、危険な行動。しかも領主たちは絶えず争いを繰り返す、まぁある意味古典的な方々。それでも取ってこいと言うベラナの勢いと、たぶん偶然なった雷も味方して、ケリスは命がけで冬の涙を取ってきました。えらーい。彼女の考えた芝居を「空からインスピレーションが降ってきた!」と言い放って、新しい芝居の稽古が始まりました。

一方本物のヴォイジャー、2人の手がかりは一切なく、シャトルで探そうにも宇宙の渦がまた発生するかもしれないのでできません。がっつり落ち込むトム。

ケリスの芝居でも。落ち込むトムが描かれます。しかし、それをいやすのは、何とセブンの役目。あ、ちなみにセブン役はケリス大好きのあの子。ケリスは役者が戸惑ってるとベラナに訴えます。特にバルカン人は超難解で…。

そのバルカン人トゥヴォックは、夜遅くに食堂でセンサー分析。お疲れの様子です。もう10日も寝ていない驚異の体。

そのトゥヴォック役の役者は、2人を語るシーンで泣こうとしてケリンに怒られます。ケリンいわく、その無表情の下には深く自分たちが想像もつかないほどの悲しみがある、と。おーなかなか深いではないですか。それがベラナの説明だとしたら、ベラナも分かってるじゃん。しっかし、これは難しいぞ。練習中、新たな戦争が始まりそうだとの知らせが入りました。

ベラナのもとへ来たケリン。彼は芝居を見せて戦争をやめさせたいと訴えます。彼女に劇場へきて、芝居作りに手を貸してほしいと言いました。劇場に現れた東の海の詩人ベラナに、セブン役の女優は面白くなさげ。年老いた役者の「芝居の本質を探れ」という言葉に反発するケリン。今観客が求めているのは刺激だと。これもなかなか深いですねー。で、とりあえず艦長と副長のシーンを。

で、ここが私的には今回のハイライト。艦長が副長に迫っちゃうんです。キスシーンまで!「この船ですべての女性ができることを、私があきらめる必要があるかしら?あなたに…触れることを」―個人的には「そうだ!そうだ!」ってなもんですよ。

でも、でも。実際の2人はそれどころではありません。異星人の船からの情報で、ハリーが脱出ポッドに乗ったこと、ベラナがLクラスの星に向かったことが判明。でもそれは、もう10日も前。ポッドではそんなには生きられません…。ロマンチックな雰囲気のかけらもないひと時です。

芝居の練習はブラッシュアップの段階。トゥヴォック役の役者はまだ納得できないようですし、最後がまだできていないと結構ピンチな様子。またまた余談ですが「最後のシーンは本番直前で」というのは古いタイプの西洋人演出家がよく使う手ではないでしょうか。私も芝居やってたんですけど、脚本&演出がイギリス人で毎回これでした。本番当日ってことはないですけど。えっと、ベラナに言わせると、芝居で何が言いたいのか見えないと。ケリスは愛情で戦争の憎しみを消したいと言いますが、現実的じゃないこの芝居にはちょっと意味ない感じ。ケリスはボーグのことを聞いて、艦長がボーグを決して絶滅させるのではないと聞いて、それを芝居に取り入れることを考えます。

ベラナは一人フライヤーに帰りました。と、そこにはセブン役の女優が。嫉妬に駆られた彼女は、泣きながらベラナに「彼を取らないで」と訴えて去ります。その時、「あれ、友達?」と言って、ハリーが現れました!それに、彼は壊れた通信機の代用になる通信機を持ってきてたんです!

翌朝、ケリスはラストができずに苦悩中。この人、ほんとに才能あるんかい?フライヤーではなんとか修理が完成して、亜空間通信を起動。

夜になって、カリカリしている領主さまが現れる中、芝居が始まりました。役者たちは、ラストに納得してないみたいですが。ケリスは、フライヤーにいるベラナのもとへ使いを出しました。

ヴォイジャーのブリッジ。トムは、後ろから聞こえてくるいびきに振り返ります。艦長代理のトゥヴォックが眠っちゃってました。やっと体力の限界を認めたバルカン人は、副長に交代を願い出ます。と、そこへ亜空間通信を受信しました。

芝居は艦長とセブンのシーン。艦長に従うふりをして、実はセブンこそがボーグのクイーンだったという、なかなかよくできたシナリオ(笑)。艦長もそれを知りながら、船を守るために素知らぬフリをしていると。

トムとの亜空間通信を終えたベラナたちに、使いが届きます。いつの間にか芝居にのめりこんでいたベラナは、劇場へと急ぎました。

艦長とセブンのシーンは、セブンがボーグクイーンだと判明してかつ艦長がセブンを追い詰めたところまで来ました。武器を捨て、セブンに和平を申し出…いや言い迫っています。舞台裏では、ベラナと合流したケリスが、ラストシーンに向かいます。

ベラナは自分が舞台に上がり「今ここでベラナ・トレスは神々のもとへ帰る」と。そこへ、もうベラナに表れてほしくなかったセブン役の女優が乱入。「彼女が本物のベラナだ」とぶっちゃけてしまいます。まぁこれは、年老いたコーラス役の俳優のアドリブで逃れるんですが…。そして、別れのシーン。ベラナは舞台上で転送してみせ、ケリスは領主に憎しみのない世界を訴えて、芝居の幕を下ろすのでした。

めったにないベラナメインの話でしたが、それはそうと、ケリスが描いたヴォイジャーの話しが、まるでファンの願望を全部ぶっこんだみたいで楽しかった!でもちょっとがっかりしたのは、「セブンがボーグのクイーン」というのは、実は初見の時に私が想像していたオチなんです。でも、ここでそれを出しちゃったってことは、もうその線はないわけで…。艦長と副長のペアリングも然り。まぁ、後者だけは今日もってまだ諦めきれないんですがね。

ギリシャ劇の古典劇のような感覚の今回の芝居。ケリンのやりたかったことは、洋の東西を問わず役者や劇作家がしてきたことですね。面と向かっては誰も言えないようなことを、権力者に向かって問いかける。

今回のお題。原題「Muse」=女神。今回は、ベラナです。(私にとっちゃ、もちろん艦長なんですが)邦題「ヴォイジャーの神々」。これはなかなか佳題だと思います。皮膚再生や転送を見せられたら、本当に神が降りてきたと思うでしょうね。

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コメント

この作品のモチーフは、ギリシャ劇というよりも日本の「能」だと思いますよ。

ていうか、内容自体が、能の代表作「羽衣」そのものですから。

羽衣はとある漁師が浜辺で、世にも美しい衣を見つけると、どこかから生身の人間とは思えない美女が現れて、「自分は天人だが、その羽衣がないと天に還れないので、返してほしい」というと、漁師は「返してほしければ俺の言うことをきけ」という。こういう流れになります。

そして、最終的に男の願いを叶えた天人は、羽衣をまとって天に還っていきました。と。

それで、ベラナを天人に、ケリンを漁師にデルタフライヤーを羽衣に置き換えれば、完全に、今回のエピソードは「羽衣」になるわけです。

投稿: 我無駄無 | 2016年4月25日 (月) 13時28分

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