« 第151話「Critical Care(正義のドクタースピリット)」 | トップページ | 誰かに会うのに、何日も前から心躍ることは、この頃ありますか? »

「離反か従属か」グルジアの苦悩

揺れる大国 プーチンのロシア 第3回です。

※番組内容のネタバレをします。

 久々のNHKネタです。

 大体、大統領はメドベージェフさんになったのに、今だに「プーチンの」と称して何の不自然もないところが、この国の恐ろしいところかも。

 去年8月のグルジア紛争、その後のグルジア人たちを追ったドキュメンタリー。「ロシアの唯一の道は、強い国であることだ」と言うプーチンによって、ソビエト崩壊後疲弊していたロシアは国力を取り戻しつつある。そのロシアに「離反」するのか「従属」するのか。軍事力で迫られた旧ソビエトの周辺国は、窮地に立たされている。

 9月。出稼ぎ等でロシアに住むグルジア人達は、紛争以来孤立を深めている。ロシア国内でのグルジア人への風当たりは強さを増し、しかしグルジアへ帰国しても帰る場所などない。モスクワで柔道教室を開いているアンゾールは同情の使用料を3倍に引き上げられ、新しい道場探しに苦戦している。8月の紛争時には、妻と娘が実家のあるグルジアに里帰りしていたため、家族とも離れ離れの日々。

 90年代中盤からNATO加盟運動など親欧米路線を強めてきたグルジア等の周辺国に、ロシアは強い反発を抱いた。まずは標的をグルジアに定め、グルジアからの独立を求める南オセチアを支援。8月には軍事で衝突し、国交は断絶した。

 南オセチアからさらにグルジアに入り込んだゴリの町。ロシア軍が撤退したばかりのこの町の小学校には、アンゾールの娘ニーナをはじめ、ロシア在住だったグルジア人の子供が300人転入してきた。彼らを含め子供たちは、目の当たりにした爆撃の記憶に苛まれている。ニーナは11歳。もう8年もモスクワで暮らした。

 ガンツァ、アンナ姉妹は、ゴリよりも南オセチアとの境界に近い村から家族で逃れて来ていた。避難所から村へ様子を見に行くと、家は焼きつくされていた。父ラズマゼは、ここで6人の友を喪った。

 10月、モスクワではグルジア攻撃を支持する団体が、周辺国の再統一を叫ぶ一方で、経済危機による周辺国からの出稼ぎ労働者切りが進んでいた。特にグルジア人たちは、国交の断絶によってビザの更新ができず、帰国したり不法滞在者となったりするものが急増。中には「グルジア人がモスクワでテロを計画している」という記事を書く者までいる。

 アンゾールの柔道場は、ついに練習場所を失い、空き地での練習となった。生徒も減った。

 12月。ロシアとのいざこざの原因とも言えるNATO加盟が、時期尚早として先送りされた。グルジア国内では、欧米よりもロシアとの関係を重視すべきだという声も上がり始め、政府への不満も高まっている。

 「離反」か「従属」か。国民も政府も揺れる。

 ゴリの町にある聖地。ここには紛争の犠牲者への追悼の祈りが絶えない。双方で取り残された人々は考える。自分にとってロシアとは?グルジアとは?グルジアがロシアからの完全な自立を目指した時、人々は熱狂したが、今は強国となりつつあるロシアと相対することにもう疲れ始めている。今祈ることはただ一つ「平和になって欲しい」。

 家を焼かれたラズマゼは、再びこの家で家族とともに住む準備を始めていた。ゴリの避難所が閉鎖されるからだ。まだ軍の小競り合いが続くこの村。危険だが、ほかに行く場所はない。

 プーチンは国民の前で、紛争の責めをグルジアの指導者に求めた。

 1月。ニーナは生まれて初めて、父親のいない新年を迎えた。父親アンゾールは、道場探しの途中で交通事故をおこして賠償金を払わなくてはならなくなった。生徒は減る一方だ。しかし、そんな事情は家族には話せない。

 ラズマゼ一家は、紛争の残る村へ帰ってきた。大きな不安を抱えたまま。

 グルジアでは、大統領の辞任を求める子が上がっている。ロシアは、南オセチアとグルジアの境界に「壁」を作ることを計画中だ。

 …という話なんですが。なんと意味のない紛争でしょうか。ロシアの、プーチンの欧米に対する怖れだけで、何万人もの人が苦しんでいます。アンゾールがインタビューで「政治家の人たちは平気だろうが、苦しむのはいつも俺たちだ」と言ってますが、その通りですね。これでグルジアが「従属」すれば、ロシアは他の周辺諸国にも手を出すのでしょうか。目の間で人や家が爆撃されていく現場を見た子供たち、家族と引き離された労働者、ビザの更新ができないために仕事を失った教師、彼らの人生を狂わせた責任を、プーチンはどう思っているのでしょうか。きっと彼自身はそんなもの「平気」なんでしょう。ニーナは教室で発表した作文に「どうして平和にできないのでしょう、私はまだ生きています」と書きました。父親の踏んだり蹴ったりの惨状を知らない彼女ですが、父が来るしんでいることは、おそらく感じ取っているでしょう。

 軍事を特に強化して来たこのロシアの力は、旧ソビエトと同じ轍を踏もうとしているのか、それとも第3次世界大戦への布石か…。そうなったら、隣国である日本だってただではすみません。今はロシアの向こう側での緊張状態ですから、なんだか対岸の火事のように思っていますが、ニーナの叫びは、果たして向こう岸の声なのでしょうか…。

|

« 第151話「Critical Care(正義のドクタースピリット)」 | トップページ | 誰かに会うのに、何日も前から心躍ることは、この頃ありますか? »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

艦外(VOYの外で)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
国家ってば本来、国民の生活と人権を守るシステムのはずですから、翻弄される人がたくさん出てくるのは指導者が何か間違えてるってコトですよね。
幽人は香港という街が好きで留学もしたくらいなので、1997年の返還前後にも訪れたのですが、地下鉄で通勤や通学途中の同世代の人が、ほぼ間違いなく聖書を読んでる光景に出くわして背筋が凍りました。
一応クリスチャンなので喜んでも良さそうなんですが、ここまでの社会不安って経験がありません。
留学中、クリスマスに教会に行きましたが、白人の牧師さんは滞在ビザが切れたらもう入国出来なくなるとのことで、漂う悲壮感に圧倒されました。
共産主義を突き詰めれば無神論ですし、中国がチベットなどにしていることを思えば当然想像がつくのですが、肌で感じられたのは貴重な体験でした。
自分は何も出来ないけど、常に目を開いていたいと思います。

投稿: 幽人パリス | 2009年3月28日 (土) 23時48分

>幽人パリスさん
地下鉄で聖書ですか…。怖いですね。私も一応ミッション出身ですが、聖書は後輩に借りパチされました。それで全く困ることなく2~4回を過ごしましたし。むしろ、今VOYの細かいところを見ていてたまに聖書を調べたくなるくらいで。
VOYの世界じゃないですけど、人間が勝手に引いた国境で、人間自身が苦しんでいる矛盾を、外から見たら本当にバカバカしいと思います。それぞれの国や民族でいいところもあるんでしょうが、もう少しなんとかならないものかと思いますよね。

投稿: 浅木 | 2009年3月31日 (火) 13時32分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/499466/28755469

この記事へのトラックバック一覧です: 「離反か従属か」グルジアの苦悩:

« 第151話「Critical Care(正義のドクタースピリット)」 | トップページ | 誰かに会うのに、何日も前から心躍ることは、この頃ありますか? »